第2章 芽生える気持ち~冨岡義勇
今日は、稽古はお休みの日だった。
しかしゆきは…
義勇さんに好物って聞いた鮭大根を作ってあげよう。
そう思い材料を持って屋敷を訪れた。
中に入ると黙々と木刀を振る義勇の姿があった。
その姿に見とれていると、ふいに義勇がこちらを振り返った。
「来てたのか?」
その優しい声が大好き…。
「今日は、お稽古おやすみって言われたんですが手料理作りたくて来ちゃいました。」
義勇は、ちょっと照れ臭そうに視線を外して頭をかきながら
「そうか…」
と言いながら屋敷の中に入って行った。
時透の継子はとても愛嬌がありこんな俺にすごく懐いて、話しかけてくれる。
こんなにも誰かに懐かれるのは初めてだ…
以前産屋敷邸で池に落ちそうなお前を助けた時には、こんなに懐かれるとは想像できなかった。
だから少し戸惑いもある。
今日は、俺に手料理を作ってくれるらしい。
ゆきの声を聞いているとなぜか、心が穏やかになる。可愛らしい声…
時透はいつもこの声に癒されているのか?
そんな時透を、羨ましいなと思う自分がいる…
「義勇さん!出来ましたよ♪食べましょう」
ゆきは、口に運ぶ様子を、じっと目をキラキラさせて見てくる。
見つめられたからなのか?何故か俺は緊張してしまった…。
「お口に合いますか?」
口下手で気が利いたことが言えなかった…
「ああ…旨い」
昼食に作った鮭大根だったが、話したいことが沢山あり
そのまま夕食時になるまでゆきは、義勇と時間を共にした。
もうすぐ無一郎の任務も終わり、義勇に稽古をつけてもらう事も、終わってしまうと思うと淋しくて淋しくて、いっぱい話した。
義勇は、それを「うん」と頷く程度でしか聞いていないが、晩酌で出してるお酒にどんどん手が伸びるのを見て楽しんでくれてるに違いないとゆきは思った。
どんどん楽しい時間は、過ぎていった。