第79章 翻弄される日々〜冨岡義勇【R18強強】
「てめェ…死ね。死んで詫びろ、クソ野郎がァ!!」
不死川の怒号と共に振るわれた拳を、義勇は避けなかった。頬を殴り飛ばされ、口端が切れて血が滲む。
俺はこの痛みを味わって当然の事をゆきにした。
場面は変わり、宿の部屋
薬の効き目か、ようやく咳が収まったゆきは、身を起こした。
「っ…」
動くたび、下腹部に鈍い痛みが走る。
昨夜、義勇に強引に抱かれた痕跡。
しのぶさんを受け入れたはずなのに、どうして私を?
どうして、何度もあんなに…好きかと、縋るように聞いてきたの?
答えの出ない問いが、頭の中を支配する。
その時、廊下に響く足音が聞こえた。
義勇さんだ…
ゆきの身体が、本能的な恐怖と緊張で強張る。
襖が静かに開いた。
そこに立っていたのは、口元を赤く染めた義勇の姿だった。
「義勇さん…?」
昨夜の情事が彼の傷を目にした瞬間に弾け飛んだ。
ゆきは無意識に布団を蹴立て、ふらつく足取りで彼に駆け寄る。
「怪我…!? どうしたんですか、その顔…!」
震える指先を、切れた唇へと伸ばす。
その行動に、義勇は驚いた。
義勇の胸が、切ないほどの高鳴りを上げる。
「…ゆき」
ゆきの小さな掌を、自分の大きな手で包み込んだ。そして、頬を寄せ重みを預ける。
「あんな酷いことをした俺を…まだ、心配してくれるのか?」
情けないほど震える声。
「俺は…お前に嫌われる事を、恐れていたはずなのに、お前を一番傷つけてしまった。不死川に殴られて当然なんだ。…いや、これでも足りない…」
義勇は、重ねた掌にそっと唇を寄せた。ゆきの体温を感じるたび、愛おしさと罪悪感が胸を締め付ける。
「行かないでくれ…俺を、一人にしないでくれ…」
切れた唇から漏れるその言葉は、子供のようだった。
弱音を聞いて、流されては駄目…だけど、ゆきの心は徐々に溶かされていく…。
だけど、駄目よ…義勇さんはしのぶさんを選んだ
「義勇さん」
「胡蝶に逃げてしまった事…許してほしい」
「許すも何も私と義勇さんは、師範と継子の関係…ただそれだけです。そう思ったからしのぶさんを受け入れたんでしょう?義勇さんは」
ゆきの笑顔が寂しそうだった