第79章 翻弄される日々〜冨岡義勇【R18強強】
絶頂の余韻で、指先一つ動かせないゆきを、義勇は静かに見下ろしていた。
乱れた髪が寝床に広がり、その白い肌には、先ほどまでの激しい情事の証である赤みが点々と浮き上がっている。
荒い呼吸を繰り返すゆきの瞳は潤み、魂が抜けたようだ。
自分だけのものになったかのような、錯覚を抱かせるほど無防備な姿だった。
だが、義勇の心は満たされない。どれほど身体を繋げ、中に自分の白い想いを出しても、ゆきの心の芯にある「何か」に、どうしても手が届かない。
義勇は横たわるゆきの頬を熱い掌で包み込み、耳元で囁いた。
「…ゆき」
義勇は震える指先でゆきの唇をなぞり、また同じ事を問いかけた。
「俺のことを…好いているか?」
ゆきのまつ毛が微かに揺れた。朦朧とした意識の中で、ゆきは義勇の瞳を見つめ返す。
けれど、薄く開かれた唇から義勇の望む声は聞けなかった。
沈黙が、苦しい…
「…やはり、答えはもらえないのか」
ゆきは、静かに目を閉じた。
「嘘でもいい。ただの一言…好いていると言ってくれないのか?」
その声は、泣いているようにも聞こえた。
義勇は、力なく横たわるゆきの身体を再び抱き寄せた。折れてしまいそうなほど細い体に顔を埋め、深く息を吸い込む。
「胡蝶は…俺を好いていると言ってくれた…真っ直ぐに…だから心が揺らいだ」
義勇のその言葉を聞きゆきは、瞳をゆっくりと開く…
「…では、なぜ大切なしのぶさんがいるのに、こんな風に私を犯したんですか?」
義勇は、驚き目を見開く
「お、犯したなど…違う…お前を大切に、抱いた」
「大切にですか?ただ…欲望のはけ口に私を使ったんですよね…」
そう言い終えると、ゆきは、激しい行為のせいなのか?多分そうだと思う…不意に激しく咳き込んだ。
裸のまま身を丸め、喉を詰まらせるその姿はあまりに痛々しい。
義勇は狼狽えながら、傍らに落ちていた着物を拾い上げ、震えるゆきの肩にそっと掛けた。
「無理をさせてしまった…すまない…大丈夫か?」
義勇さんの心がわからない…先に壁を作ったのはそっちなのに、しのぶさんを選んだと思ったのに…
さっきのあの行為は何だったの?