第15章 潔白
『お願いですから…
これ以上鬼殺隊の人達を巻き込むのはやめて下さい…。』
「だったら俺に頭でも下げたらどうなんだよ。
そうしたらまぁ、噂を流すのをやめてやってもいいぜ?」
『っ……。』
頭を下げるなんて絶対に嫌だけど…
私がこの人にお願いすれば
鬼殺隊のみんなは苦しまずに済むかもしれない…
西口さんを傷つけた事も謝れば
この2人はまた友達としてやり直せるかもしれない…
そんな考えが頭の中をよぎり
みんなを苦しめるくらいなら、私1人が頭を下げるのは些細なことだ…。
ここは我慢して
彼の言う通りにした方がいいかもしれない…
そう結論を出した私は
畳に手をついて頭を下げようとしたけど…
ガシッ
…左右隣に座っているしのぶちゃんと冨岡さんに
肩を片方ずつ掴まれていた。
し「さん、
こんな人に頭を下げる必要はありません。」
冨「胡蝶の言う通りだ。
こんな男に鬼殺隊の格を下げることなど
出来るはずもない。」
『え……、で、でも…』
私を止めた2人に視線を向けてから
正面にいる隊士と父親を視界に捉えると
しのぶちゃんと冨岡さんに
"こんな人"とか、"こんな男"って言われたからか
親子揃って怒り、顔が赤くなっていた。
「貴様ら…!!儂の息子を侮辱してるのか!?」
し「えぇ、それがなにか?」
『し、しのぶちゃんっ…。
正直に答え過ぎだって……!』
し「あ、すみませ〜ん。
つい口が滑ってしまいました〜。」
冨「……。お前達親子の方こそ
先程までを侮辱していただろう。
己の事を棚に上げるとは…、実に愚かだ。」
『と、冨岡さんまでっ…』
「……いいんですか?
俺達の事を馬鹿にしたら
この先鬼殺隊がどうなっても知りませんよ?」
スパンッ
「………やれるモンならやってみやがれ!!」
『!?!?な、なんで……!?』
突然勢いよく開いたこの部屋の襖から
聞き覚えのある人の声が発せられ目を向けると
そこには風柱の不死川さんが凄い形相で立っていた…。