第15章 潔白
カナヲちゃんは一体何を持ってきてくれたのかな…。
不思議に思いながら紙の束を見ていると
しのぶちゃんは笑顔を絶やさないまま、その紙束を親子に提示していた。
し「さんのよからぬ噂…、
流したのはあなた…ですよね?」
「っ!!」
冨「…。」
噂を流した人の正体…
それは私も、何となく予想はできていた。
噂の内容は悪口が多かったし
明らかに私を嫌っている人が流したもの…
これまで何度も隊士達への接し方を思い返してみたけど、私に嫌悪感を抱いているような様子の人は、全く思い浮かばなかった。
今、目の前にいる…この隊士以外からは…。
「…冗談はやめて下さいよ蟲柱。
俺が噂を流したっていう証拠でもあるんですか?」
し「ふふっ、勿論ありますよ?
こちらの用紙には
鬼殺隊の隊士達が誰からその噂を聞いたのか…
その人物の名前が記されてあるんです。
大勢の方に名前を挙げられた人気者…
それはあなたでしたよ〜?」
「ハッ、馬鹿馬鹿しい…。
そんなものいくらだって捏造できるだろう。」
し「残念ながら捏造ではありませんよ?
…聴取した隊士達それぞれ
直筆の署名入りなんですから。」
『ぇ…?』
「…、はぁ!?!?」
し「信じられないならご覧になります?」
その隊士は
直筆の署名が綴られている事に驚きを隠せていなくて…
でもそれは、私も同じだった。
一体いつの間に署名を集めていたのか…
紙の束は一枚や二枚じゃなくて
それなりに分厚さがある…。
この数日間で、何人もの鬼殺隊士の元に行き
署名を集めてくれてたなんて……、私は気づきもしなかった。
『しのぶちゃん…、
どうやってこんなに集めたの…?』
し「勿論、隊士一人一人の元を訪れた際に
署名を頂いたんです。
でも、私1人だけで集めたんじゃないですよ?
冨岡さんやカナヲ…、炭治郎くん達も
任務の合間に多くの隊士に声を掛けて集めてくれたんです。」
『っ、うそぉ…』
みんな…、私の為にそこまでしてくれてたの…?
驚きながら冨岡さんに視線を向けると
直ぐに目があった。