第13章 浮名
「あの…!西口は本当に
心からさんをお慕いしてます!」
「そうです!貴方に会う為に、
鬼狩りの任務をいつも頑張ってこなしてました!」
「どうか西口の想いに応えてやって下さい!
お願いしますっ!!」
『……っ。』
そんなお願いされても困る…!!
西口さんが悪い人じゃないのは知ってるし
任務や鍛錬に励んでる事も分かってる…。
隊士の人達は
そんな西口さんを仲間として大切に思ってるから
私に彼の良さを必死に伝えてくれてるんだろう。
でも、どんなにお願いをされたところで
私の気持ちは変わらない…。
謝罪をして
ちゃんと断ろう、と口を開きかけたら
私の背後から
少しずつこっちに近付いてくる足音が耳に入った。
まさか…、と思って振り返ると
思った通りの人物が登場した。
「戻りが遅いから来てみれば…
お前達、を困らせるな。」
「「「!!!み、水柱…!!!!」」」
西「水柱も…いらしてたんですね。」
「…。」
…そうだった、冨岡さんと西口さんって
あんまり仲良くないんだっけ。
突然現れた冨岡さんに
隊士の人達はオロオロしながら驚いているようで…
でも、西口さんだけは
真っ直ぐに冨岡さんを見つめていた。
西「…何か御用ですか?
俺は今、さんから告白の返事を聞くところなんです…、邪魔をしないで下さい。」
「…知ってる、お前達の声が大きくて
俺の耳にも届いていたからな。」
西「だから何です?
やっぱり邪魔をしに来たんですか?」
「…。」
あぁ…どうしよう…
冨岡さんが来てから
ずっと険悪な空気が漂ってる…。
このまま放っておくと、喧嘩し出しそうな雰囲気で
何とかしようと思った私だけど
告白された側の私にできる事は何もなくて…
黙ったまま2人の様子を見ていると
静まり返った空気の中、冨岡さんの落ち着いた声が響き渡った。