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Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第15章 誘われた夜


「大したことじゃねぇって言っても、会いたいっていうくらいにまでダメージ受けてんじゃねぇか」
「…それは…」
「ん?何か違ったか?」
「……違くは…ない…」
「だろ?」
「でも…走りの邪魔をしないって…約束もしたのに、速攻で約束破るみたいに…」
「何が?」
「ミーティングの最中だったんじゃない?昨日…」
「まぁな」
「…ほら…」
「でも返事返せなくても怒ってねぇ」
「…そりゃ…そうだけど…」
「気にすんな。それとも、俺の言葉よりも向こうの言葉のが、雅には響く?」

そういうと加賀はするっと頬に手を滑らせてくる。

「…ずるい…そんな聞き方…」
「別にずるくはねぇだろ…」
「…だって…」
「ん?」
「私がなんていうか…知ってるくせに…」
「分かんねぇよ?俺がそう思ってるだけかもしれねぇ」
「…ッッ…好き…」
「それでごまかそうとしてるだろ」
「してない…」

そういうとゆっくりと触れるだけのキスが唇に落ちてくる。

「…ン…」

煙草の香りがふわりと鼻をくすぐる。離れた瞬間に俯いてしまう雅を再度抱き寄せて加賀は照れたように問いかけた。

「…煙草、吸ってたな、俺」
「ん…」
「悪い…」
「大丈夫…加賀さんの香りだし…」
「やらしいな、その言い方…」
「だって…本当だもん…」

加賀の背中に腕を回す雅。細いわりに筋肉質のその体に顔を埋めればどことなく柔らかなコロンだろうか…フローラルの香りが鼻をかすめる。

「…なんか…落ち着きます…」
「そう?…まぁ、そうだな」
「加賀さん…あの…」
「ん、何?」
「話さなきゃいけないことあって…」

すり寄る様に顔を埋めていたものの、ゆっくりと体を離す雅。

「…何?」

少しの間をおいて加賀も問いかける。
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