第14章 告白
ガレージに向かっても加賀の表情はどこか上の空だった。
「…ブリードぉ」
「んぁ?」
「気に何なら戻れ。」
「何が」
「彼女の事、気になるんだろ」
「なんでだよ」
「そんなの俺らが知るワケねぇだろ」
「……熱下がってるかなって思ってただけだよ」
「十分な理由だ」
「だろ?フィル」
「……でもあっちはあっちでミーティング入るだろうしよ」
「休ませねぇのか?」
「いや、逆だ」
「んぁ?」
「休めと言っても休まねぇんだよ。雅は」
爪先を見つめながらも加賀は答えた。視線こそ向けないままでもグレイとフィルは、しっかりと加賀の声のトーンからどんな表情かが解っていた。
「…で?うちの女王様は知ってんのか?」
「いってねぇ」
「…クス…知ってるのは居ないってか」
「いんや?新条とミキちゃんは知ってる」
「なんでその二人なんだ」
「ミキちゃんは元スゴウのメカニックだ。それもあって雅とは仲がいい。で、よく一緒に飯食ったりするし?」
「なるほどな」
「スゴウの方はどうなんだろうな」
「内密ってか?」
「いや…」
隠す必要はない。でもあえて言う必要もない。そう加賀は感じていた。でもこれにはない手が、雅がいるから…
「俺だけの判断でいろいろと公にすることも出来ねぇしよ」
「独占欲の塊が、よく我慢できてるな」
「…うるせぇよ」
「ねぇグレイ…」
「ん?なんだフィル」
「加賀ってそんなに独占欲強いの?」
「独占欲の塊だ。執着はそんなにしないけどな」
「真逆じゃない?」
「どうなんだろうけど、それがブリードだ。難しい男だ」
「うるせぇ…」
悪態吐きながらもグレイト加賀の間には穏やかな空気が流れていた。