第14章 告白
「どおりで」
「ん?」
「ほら、昨日その子体調悪いとかなんかでスゴウのオーナーが今日子さんに謝りに来たでしょ。」
「まぁ、そんな事もあったな」
「加賀にしては珍しいなって思って。しかもそのあとにアンリと喧嘩したでしょう?」
「だぁから、喧嘩じゃねぇって」
「何があってその…そうなったんだ?」
「ま、あんたがそういうのは無理もねぇ、グレイ」
「このグランプリで1位になったら戻るんだろう?」
「……あぁ」
フィルも小さく頷いていた。グレイは少し厳しい表情のままに加賀に続き問うている。
「…アメリカのインディーズ…そこで俺とフィルと、向こうで待ってるやつらもいる。そんな中でお前は走るんだろ。今はいい。だがな、王者になったらどうするんだ」
「その時に考えればいい」
「そんな風には思ってないだろ…」
直接的にぐさりと言葉が突き刺さる。
「…別れるかもしれねぇし、続くかもしれねぇ。でも俺はサイバーでグランプリ取ったら身を引く。それは決めてんだ。」
「それを彼女は?知ってるの?」
「あぁ。それでも傍に居たい、そう言ってくれた。」
「…ブリード」
グレイもその表情を見て何も言えなくなっていた。そう、長い付き合いだったグレイですら見たことのない位に柔らかい表情だったのだ。
「…わかったよ、ブリード。」
「んぁ?」
「その代わり、一度会わせてくれねぇか」
「会ってどうすんだよ、クスクス」
「なぁに、話をしてみたいだけさ!な!フィル!」
「え、あ、僕も?」
「そりゃそうだ!!」
けらけらと笑うグレイ。ただ次の瞬間に表情は戻り少しマシンいじってくるとフィルを連れ出すことになるのだった。
「俺も行くわ」
「ハァ…OK」
そうして三人はAOIZIPのガレージに向かう事にした。