第13章 彩の視線と牽制
「…ごめんなさい…ミキさん」
「いいんだよ、新条から聞いた。熱あって…あんまり動くなって言われてるんだろ?」
「そうなんだけど…ちょっと喉乾いたりでコンビニに…」
「それで?」
「そこで…彩さんに会ってって感じかな?」
「どうなってあんなことになったのかはわからないんだけど…AOIでも雅と加賀の関係知ってるのって新条と私だけだし…今日子さんもまだ知らされてないみたい…で、スゴウも、だろ?」
「ん…」
「加賀も早くにラップ出て…まだガレージにいると思う。私は、データの一部を取りにお使いってわけさ。」
「……そっか…」
「気にすることないよ、あんな加賀の追っかけの言葉…」
「追っかけって…私もそれに近いものあったし」
「いや、雅は違うだろ?」
「……ありがと…ねぇミキさん…」
「ん?」
「……やっぱいいや…」
「なんだよ、水臭いな!」
「アンリと加賀さんの喧嘩の事聞こうと思って…」
「…あーぁ、アレ?」
「やっぱりあったんだ…」
「本人から聞いてもいいと思う。どっちでもいいけど…」
「ん、やっぱり本人から聞くよ」
「そか、じゃぁ、ゆっくりと休むんだよ?」
そうしてエレベーターで別々に別れて部屋に入っていく雅。
「…ハァ…」
どうしても気にしないようにしていても彩の言葉が心に引っかかる。
「…振り回す、か…」
間違ってはいない…そう感じてしまったから咄嗟に反論できなかった。
「走りの邪魔…しないって約束したのに…」
色々な感情が心を埋め尽くしていく。熱が上がる感覚になったのは本当かどうかさえも見分けがつかない程に…