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Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第10章 さらけ出された感情


「私…加賀さんに嫌われてたわけじゃないんですね…」
「嫌いな奴バイクの後ろに乗せるほど物好きじゃねぇよ」

その言葉を聞いた雅はゆっくりと立ち上がると加賀のシャツの裾に手を伸ばすと、そっと握りしめた。

「…もし…もしそれでもいいって…それでもいいから傍に居たいって言ったら…迷惑ですか?」
「雅ちゃん…」
「走る邪魔はしません…わがままもなるべく言わないようにします…だから…傍に居させてほしいです…」
「…ハァ…」

小さなため息が部屋に落ちた。その直後、そっと頭をなでる加賀の手が雅の頭に落ちてくる。

「…わがまま言ってくれてもいいさ…言わなくても邪魔なんてしないだろうよ…雅ちゃんは…」
「…加賀さん…ッッ」
「言っとくけど、俺意外と独占欲強ぇよ?」
「…はい」
「…クハ…ほんとに諦めねぇな」
「加賀さん…」
「ま、これからよろしく」

そういう返事を聞いた雅はぽすっと加賀の胸元にもたれ込んだ

「…ありがと…ぉございます」
「敬語じゃなくていい」
「…ん」
「OK」

フッと笑う加賀。巻き付いて離れなくなった雅をそっと抱きしめた。

「…ほら、とりあえずは部屋、戻れ」
「…ん」
「大丈夫だって…また会える。だろ?雅」
「…ッッ」
「ん?どうかした?」
「だって…不意うち…すぎる…」

そう言って顔を真っ赤にする雅だった。

「…加賀さん…」
「ん?」

ゆっくりと体を離して雅は俯きながらゆっくりと口を開く。

「…おやすみなさい…」
「ん、おやすみ」

少しだけ名残惜しそうにも感じながら雅は加賀の部屋を後にするのだった。
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