第10章 さらけ出された感情
『ミキさん、新条さんのお誕生日会、やっぱり参加させてもらう事ってできるかな…?』
それから時期に返事は来る。もちろん返事はOKだった。
「…よかった…」
プレゼントがない事も気にしていたものの、それでも何かを用意しようかとも考え、ミキに確認をしてみることにした。
***
AOIのチームあげての誕生日会は当日にすると言う事もあって少し早めのバースディはほんの数人、言うなればいつものメンバーで、といったところだろう。
「…お誕生日おめでとうございます!新条さん!」
「あぁ、ありがとう。なんか悪いな、気を遣わせたみたいで…」
「そんなことないですよ!逆にみんなでご飯食べる機会あって嬉しいです!」
そうして雅は新条に用意したプレゼントを渡した。
「…これって…」
「何がいいかわからないから…」
「…しょーもな」
「加賀、あんたねぇ!」
しかしそう言いながらも加賀の表情は柔らかかった。
「…そんな風にいうなら、加賀さんの誕生日にはこういうのあげないだけです。」
「あっそ?」
「…なぁ、城之内?」
「…言わなくていい…新条…」
でも…と言いかける新条にミキは小さく首を振った。
「でも、ありがとう。」
「いえ、色々真剣に考えたんですけど、上げたいものって新条さんが用意してたりするかなとか思ったり…」
「え?」
「いえ、なんでもないです」
そうしてあったかい時間のまま食事会は終わっていく。そして帰りのエレベータの中、
「…んじゃ、」
「おい新条?」
「ん?」
「そこミキちゃんの部屋の階だろ?」
「まぁまぁ、黙ってて?」
「ほら、行くよ?新条」
そうしてミキと一緒に新条も下りていく。
「…あーぁあ…」
二人だけの沈黙がやけに重たく感じた。
「あの、加賀さん…」
「ん?」
「少しだけ…お時間もらう事ってできますか?」
「今から?」
「……ッッはい」
そうして返事をする前にエレベータは二階上の階層に停まった。