第8章 会いたい気持ち
そして予選も順調に進んでいく。加賀がいないこともあって焦ることもなく、ハヤトはゆっくりとした準備に入っていく。
「現状は…?」
そう言って修が戻ってくる頃にはアンリの滑走も終わり、要注意とするメンツの滑走はほぼ終わっていた。
「…現状は、アンリは2位か…」
「えぇ。」
トップは新条。アンリ、グーデリアンと続く。しかしそこにはハヤトとランドルの名前がない。
「…そうすれば…」
「そうね…」
「明日にかけるか…」
そう呟いているのも時期に、電光掲示板の名前が更新される。
「おーっと!!ここにきてランドルが記録を塗り替えてきた!堂々のトップに躍り出る!!」
場内アナウンスが響き渡る。タイムアタック1回目で簡単にランドルが抜いていく。
「…出ます…」
その声を聞いてハヤトが出る。
「…記録の塗り替えしだ!今度は風見が1位に躍り出る!!」
ランドルが出した記録をハヤトが塗り替え、それをランドルが塗り替える…そんな攻防が続いて、結果1日目にはハヤトの記録が上回った。
「…お疲れ様」
「ありがとう、あすか」
「お疲れ様です!風見先輩!」
「アンリも、お疲れ様!」
「すみません…明日にはもっといい結果出します…」
「力抜いていけ。な?」
そう言って翌日の二日目に向けていた。
***
予選の二日目…まさかの悪天候に記録は誰しも伸び悩んでいた。そんな中、自身の記録をも塗り替えていたのはハヤトだった。
「また1秒更新…すごいですね…」
「そうこう言ってる暇はないぞ?アンリ」
「はい」
気を引き締め、マシンに乗り込む。タイムアタック終了まで残り十分を切ったところでアンリが出て、記録は新条を抜いて3位に躍り出た。
「…よくやった!アンリ!」
そう喝采を浴びながらも明後日の決勝には晴れることを願っていた。