第7章 狂いだす居場所
コースに出て時期の事だった。
「オーナー、AOIの…」
そういわれて修は振り返る。そこには今日子がたっていた。
「ごめんなさいね、アタック中に…」
「いえ。あちらに…」
クレアに任せて修はそこを離れていく。それを見送った雅。
「…大丈夫よ。あの人に任せておけば」
「…はい」
「それよりも、まさか驚いたわ?」
「クレアさん?」
「それでも人の心は解らないものよ。」
「……それって…」
『ごちゃごちゃ煩い』
「あら、怒られちゃったわね」
アンリからのひと言で二人は少しだけ沈黙になる。そろそろ最終コーナーに向かおうかという時だった。
『ねぇ、雅』
「え?」
『助けてくれてありがとう』
そう無線で伝えてきた言葉を聞いてクレアは笑っていた。
「アンリ?最終コーナーよ?準備はいい?」
『…はい』
そうして戻ってきてトップスピードに乗せればそのまま正面を走り去っていくガーランドを見詰めている。ヘッドフォンの通信を切って雅はクレアに話しかける。
「…クレアさん…」
「何かしら」
「ありがとうございます。」
「いいのよ。メカニックとして…私は出来る事をしただけ」
「それでも…本当にありがとうございます。」
そう呟く雅の姿を見て小さくくすりと笑っていた。隣のガレージはシャッターが閉まっているZIPのガレージ。しかしその隣にある新条のガレージにはひときわ目立つ緑髪がいた。
「…よかった…」
そう呟くとモニターに視線を移動させたのだった。