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Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第7章 狂いだす居場所


翌日、スゴウのピットが当然ながらもざわついていた。そう、昨日中に該当者にクビを言い渡した修。しかしそれが伝えられていなかったためいなくなったと言われていた。

「…おはよう」
「オーナー!おはようございます!あの、来栖が来ていなくて…ホテルにもいなくて…」
「…あぁ、日本に帰らせた。」
「え!どうしてですか!なんでこのタイミングで…!」
「うちには必要ない。」
「それって、もしかしてクビって事ですか?」
「あぁ。」
「…どうして!」

そう、アンリの事をよく思っていなかったのはメカニックの中でも周知だったため、腕はよく、仕事も漏れやミスはないメンバーだったのだ。しかも今日から予選が始まる。そんな中での首宣言だったため、驚きを隠せなかった。

「…チームを裏切るものと一緒に、ドライバーの命を懸ける事は出来ない。そう判断した。」

そう言い切る修の声にシン…と静まり返るピット内。周囲のピットの音だけがただざわつきとして聞こえるだけだった。

「…そんな、来栖が…?」
「とにかく、だ。ガーランドに関しては昨夜のうちに修正が済んでいる。問題ない。」
「…ッッ」

そういい伝えられ、動揺も隠し切れないメカニックの中でクレアはすっと歩みを進めた。

「…アンリ?」
「…はい?」
「マシンは大丈夫。元通りになっているわ。それでもこのマシンで走れないというなら明日の二日目にかけるしかない。どうする?」
「…大丈夫なんでしょ?」
「えぇ。私が責任もって確認したわ」
「なら走る。それにもういないんでしょう?」
「あぁ。」
「なら問題ない。」

そうしてメットを手に取るアンリに雅は近づいていく。

「…アンリ…」
「大丈夫。オーナーから聞いたから」
「ごめんなさい」
「なんで謝るの?ありがとう」

そうして笑いかければマシンに乗り込むアンリを見た。
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