第7章 狂いだす居場所
「…それで?」
「すみません…証拠を出せと言われても…写真も何も撮っていないので…」
「そんなのは必要ない。」
「そうね、明日、もしくは今からガーランドを見れば一目瞭然。でもそれが本当だとしたら明日の予選は辞退が必要になるやもしれん。」
「……そうですよね」
「それと…」
そういうと修は雅の顔を見つめた。
「…他にもあるんだろう。話しておけ…」
「いえ、他に…ご報告することは…」
「ないならどうしてそんな顔をしている」
雅自身も気づいていなかったものの、その表情は誰が見てもすぐに解る。戸惑いと、不安と…そして…何にも表現しがたいような、そんな迷いに満ちていた。
「…本当に…何もないです」
「何もない、か。それで通用するのは入りたてのスタッフ位だと言う事を覚えておいた方がいい」
「……ッッ」
「雅ちゃん?何かあったならちゃんと話してほしいの。あなたの傷をえぐるとかでもなく、事実であって、それがあなたを苦しめる事ならなおさら…」
「・・クレアさん…」
「もし、話しにくいならクレアに席を外してもらっても構わないが?」
そういう修の言葉にピクリと雅の肩が震える。なかなか切り出せない雅に小さく笑うとクレアはすっと立ち上がった。
「…修さん?少しガーランドの様子。見てきますわ?」
そう言ってペイを連れていくと言い、そのまま席を立った。
「…頼んだぞ?」
「えぇ。」
そのままクレアは部屋を後にする。しんっと静まる部屋に時計の針の音だけが響いていた。