第1章 突然の別れと心
それからミキの引き留めもあり四人でグラスを交わす。そして一時間ほどした時だ。
「ミキさん、私そろそろ…」
「あー、そっか…今日は呼び出して悪かったね、また明日!」
「ん、新条さんも、帰りミキさんお願いしますね?」
「解ってるよ」
「えと、加賀さんもまた…」
「うぃ」
「…送ってもらったら?」
「それは…」
「んじゃ、行くか?」
「…でも…!」
「それとも?アンリが来るか?」
「いえ…それはないですけど…」
「なら、行くぞ?じゃぁな、新条」
「おい、加賀!お代!」
「まぁまぁ、」
笑いながらも二人の背中を見送るミキと新条。
「…でも、城之内…本当に彼女、加賀の事好きなのか?」
「まぁねぇ、てか、加賀には秘密ね」
「そりゃ、当然だけど…」
「何か不満?」
「不満とかはないんだけど…送ってもらったらってさっき城之内が言った時に速攻で否定してたから…」
「まぁ、そういう子なんだよ。雅は、さ。自分の気持ちも伝えたいけど、それよりも相手の事を考え過ぎちゃう。だからきっと接点もそうそうない自分を送るのは加賀がつまらないとかでも考えてるんじゃないのかな」
「…そんな事…」
「まぁ、?あの加賀はそんな事考えちゃぁ居ないんだろうけど?」
『確かに、そうだな』と笑う新条と、つられるミキ。二人はもう少しだけその場に残っていた。
***
その頃の雅と加賀は相変わらず沈黙だった。
「…悪かったな、今日は」
「え?」
そんな二人の沈黙を破ったのは他の誰でもなく、加賀自身だった。