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Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第1章 突然の別れと心


「あんたはそっち!」

軽い冗談めいた口調としぐさで加賀に対してシッシと手を振り雅の横に座らせるミキ。

「…だってよ、隣いい?」
「あ、はい」
「確かアンリのとこのだよな?」
「はい、真坂雅です…」
「真坂ちゃん、ね」
「あ、えと…名前で呼んでくれて大丈夫です…」
「んー、じゃぁ雅ちゃん」
「はい…ッッ」

どことなく様子がおかしい雅を見てミキはくすくすと笑う。こういったことに完全に疎い新条はミキに問いかけた。

「…ーーー・・ってこと」

そっち耳打ちをするミキに新条は驚いた様子を見せて顔を真っ赤にさせていた。

「ノロけんならよそでやってくんね?」
「う、うるさい!加賀!」
「あんたのがうるさいよ、新条」
「あ、ごめん…」
「あ、私…そろそろ…」
「え、俺たちまだ来て時間たってねぇんだけど?」
「それは…」
「それとも俺が来るのは想定外だった?」
「……ッッ」

頬杖をついて覗き込む様にして見つめて来る加賀に俯いてカクテルグラスを両手で持つ雅。

「…俺が帰った方がよさそうかね、こりゃ」
「あ、待って…!」

慌てた雅はテーブルに置いた置き方が悪かったのだろう。グラスが倒れた。

「…あぁあ、クス…」
「ごめんなさい…!あの…」
「雅は一旦落ち着きな?」
「…ん、ありがと…」
「ごめんね、加賀、この子意外とおっちょこちょいっていうか、でも悪気があるわけじゃないんだよ」
「解ってるよ。」

そういう一言が雅の耳に届いているものの、ドクドクと煩い心音にかき消されそうだった。
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