第4章 2人きりの時間
「どうかしたのか?」
「え、っと聞きたいことがあるんですが…今いいですか?」
「なんだ」
「ランドルさんだったら…例えば告白されて悪い気はしないものかな…」
「僕?あぁ、悪い気はしない。それが例えばフロイラインあすかからならなおの事」
「そうじゃなくて…あの…全く別の人とかでも?」
「あぁ。好かれるのは嬉しい事だ。」
「…そっか…」
「だれか思い人でもいるのか?」
「え?」
「そうでも無ければそんなことを僕に聞くのはおかしいだろう?」
「そうなんだけど…」
「それに僕とその君の思い人の価値観だって違う。だからこそ人間は面白いんだ。」
「…あ、そう」
「雅ちゃん?聞く相手が間違ってる気がする…」
「どういう意味だ!」
「まぁまぁ、」
しかし礼を言ってからはランドルの言葉も雅の耳には届いていなかった。
「…そっか…」
そう言ってもいつも加賀の傍にいるのは他の誰でもない今日子だ。その距離感も仕事内容も、美貌までもが自分と比べて天と地のレベルの差がある。
「ありがと」
「いやいや、礼なんかいらないさ」
フッと笑うランドルの笑みに雅はふふっと笑って居た。
「…にしてもだ。どうしたもんだろうな…全く」
「何が?」
三人の声が重なる。
「…どうしてあなたはいつまでもハヤトなんだ…」
「またその話かよ…ランドル…」
笑いの中に埋もれていく雅。それだけのことだとは解っていた。それでも視線は気づけば加賀を追っていく。
「…遠いな…」
そう呟く声は他の誰にも聞こえることも無いままに消えていった。