第38章 王者の来訪
「悪い、遅くなった。」
「大丈夫だ。おはよう、雅!」
「おはよう!グレイ、フィル!…あれ、どうかした?リック…」
「ぁ?…別に?」
「別にって顔じゃない…けど…」
「雅…、きっとだけど…」
そうして加賀が呼び寄せる。
「…城、リック大丈夫?体調悪いみたい…」
「ちげぇよ。」
「違うって…でも…」
「失恋だ」
「…へ?」
「城!!うるせぇよ!」
「それで、恐らく俺が原因だな」
「…え、どういう…」
「前にインディにいたころ、あー、サイバーに入る前だな。そこでもあったんだ。俺が好きだからリックに取り入ろうっていう子」
「…ぅわ…」
「クス…だろ?あいつをしっかり見てくれてるって事がほとんどねぇのよ」
「…でも…」
そういえば雅はじっとリックを見ながら加賀に話し出す。
「…すごくかっこいいのに…」
「雅?」
「それに、破天荒で、軽そうに見えるけど本当はすごくまじめですごく一生懸命で…だから初めて会った時から彼女いるんだろうなって思ってたんだけど…」
「遊び過ぎたんだろ。きっと」
そう話している時だった。
「…すみません!お話良いでしょうか?!」
そう言いながらもワラワラと記者たちがガレージに入ってくる。目当ては登場してすぐで1位獲得した前戦を持ってのタイムアタック当日だったからだろう。それを見て雅はすっと加賀から離れて三人の元に向っていくのだった。
「よぉ、雅。城の調子は?」
「いいと思う。」
「そうか」
「少なくても悪くはない」
「なら大丈夫だな」
「…ねぇ、リック?」
「ぁあ?」
「そんな不機嫌にならないでよ。」
「雅、いや、リックな、……」
「え?」
「振られたんだよ。…ずっと好きだって言われてた子にな」
「…んー、そうだろうとは城が言ってた…」
「…ほら、な?」
そういわれながらも深刻になることも無いままにリックに話しかけていた。