第37章 決勝の行方
しかし理性を保とうとする努力もむなしく、時期に加賀は白濁とした欲望をゴムに放つことになった。
「…たく…だせ…」
「ダサくない…ッッ」
「どう考えてもだせぇだろって…秒でイクって…」
「そんなことない…数分持った…」
「慰めになってねぇよ…」
ズッと一物を抜き出した加賀はゴムを片付ける。クシャりと前髪を掻き揚げた加賀。珍しくすぐに煙草に火を点けた。
「…城…」
背中からぴとっと巻き付いた雅の手を取って、加賀は話し出す。
「…頼むから…・・・もうこんな抱き方は勘弁してくれ…」
「…城?」
「思う所があって、そうなったのかもしれねぇんだけど…俺は雅の元カレとかじゃねぇよ。大事にしていきてぇ…だから…もうこんな独りよがりみたいな抱き方はしたくねぇんだ…」
「…ごめんね…」
「…ハァ…気持ちのいいもんじゃねぇ…」
「…ッッ」
「気持ちいいさ、でも、心が満たされねぇ…」
「…ッッ…」
腕を緩める事もしないままに加賀はそっと手を重ねれば煙草をサイドテーブルの灰皿に置いた。
「…解った?」
「ん…解った…」
「誰かの影を消すために俺を使うのはいい。でも、ちゃんと『俺に』抱かれてくれ…」
「…ん…」
ゆっくりと腕を緩めた雅。加賀もそれを合図に体の向きを変えてゆっくりと腰をかがめればキスを落とす。
「……ッッうわ…」
「煙草?」
「…ん…」
「自業自得だ…」
「…ん」
「支度して、行くか?」
そうして服を着て、準備を済ませればバイクに乗ってサーキット場に向かうのだった。