第37章 決勝の行方
そして夕食を取り、シャワーも浴びてベッドに入る。しかし雅は加賀に背を向けたままだった。
「…雅、こっち向いて?」
「…ごめ…ッッ…今日は…ちょっと無理…」
「どうしても?」
「…ッ…だって…なんか緊張する…」
そう返事をする雅を背中からグッと腕を回して抱きしめた。
「…何に緊張するって…?」
「だって…いろんなこと今日一日であって…」
「そういやよ?」
「何?」
「……いや、いい」
「何?」
「いや、大丈夫」
そう答える加賀の方に体を反転させた雅。
「…やっとこっち向いた。」
「…まさか!そのために…?」
「そうじゃねぇけど…聞きたいことは正直ある
「…何?」
「あいつに、翼って言ったっけか?」
「…ん」
「抱かれた時に気持ちよくねぇって言われたんだろ?」
「ん…」
「それってよ、雅が相手の事好きじゃなかったからだろ?」
「…え?」
「そこ解ってなかった?」
「…だって…」
「その割に俺に対しては俺も雅もどっちも好きだから?」
「…ッッもぉ…」
不安に駆られていた時間はいつの間にか消えていた。そんな中できゅっと背中に腕を巻き付いていく様に雅は加賀に巻き付いてすり寄っていく。
「…城…」
「ん?」
「ごめんね?」
「何が?」
「なんか…訳アリばっかな…」
「でも、だからこそ俺と出会えた。だろ?」
「…ッッ」
「タイミング、偶然、それも全部今の為だって考えたら訳アリも悪くねぇだろ」
「城…」
「んだよ」
「…ありがと…」
「ん」
そっと頭をなでる加賀の手に安心したのだろう。雅はすぅ…っと眠りにつくのだった。