第36章 パンドラの箱

「…ｯｯ…ごめん…私…」
「言って？」
「このまま…城と一緒に居ていいの…？」
「あぁ」
「甘えて…強がって…また泣いちゃうかもしれない…」
「いいんじゃねぇの？」
「…怖かった…本当は…ずっと一緒に居たくて…ヤキもちも妬いたり…でも…心のどこかでそういうのは違うって思って…」
「俺は雅にならそういうのも嬉しいけどな？」
「…ｯ…」
「城って言いながら甘えてこられるのは俺的には幸せだけど？」

そう言いながらも笑いかけていた加賀の首に巻き付いていく雅。

「…ｯ…」
「ほら、そういう所も」
「…後悔…しない？」
「するかよ、雅相手だろ？後悔するくらいならプロポーズするかよ」
「…城…ぉ」
「泣き止めって…」
「…ん…」

線かあをポンポンと叩けば雅から体を離していく。

「…さっきは…その…」
「ん？」
「キス…避けちゃったんだけど…」
「少し傷ついた」
「…ｯｯ」
「冗談だよ」
「…キス…したい…」
「ん」

加賀がゆっくりと引き寄せれば先ほどとは異なり、ゆっくりと、しかし確かに二人の距離はなくなっていく。

「…ｯ…ﾌｩ…」
「…ｸﾁｭ…」

何度となく重ね合い徐々に深さを増していく唇。くちゅりと唾液が交じり合う中で、何度となく舌も絡め合う。

「…ｯｯﾊｧ…」

どれ程までに絡め合えばゆっくりと離れる。とろんとして潤んだ瞳をゆっくりと開ける雅と視線を絡ませる加賀。

「俺の気持ちは変わらねぇよ。」
「…城…ぉ」
「ずっと一緒に居たいのは雅だけだ。ただ俺の方こそ走るしか能ねぇけど…」
「それは全然…ｯｯ私の方こそ…」
「ｸｽ…似た者同士ってな…」
「…もぉ…」

ポスっと凭れる雅を抱きしめ直した加賀の腕に甘える様にすり寄るのだった。