第4章 2人きりの時間
それから半日ほどゆっくりと下時間を過ごせば、ホテルまで送ってくれる加賀。
「んじゃ、」
「あの、今日はありがとうございます。楽しかったです。」
「ならよかった。」
「あの…加賀さん…」
「ん?」
「厚かましいお願いなんですけど…」
「何?」
ホテルの入り口に入る前に雅は加賀に向きながら、緊張する声のまま、少し震えながらも伝えた。
「…連絡先とか…教えてもらう事は出来ますか?」
「連絡先?」
「はい…」
「用があればAOIのガレージくればいいだろ」
「……そう、ですよね…すみません…わがまま言って…」
ぺこりと頭を下げる雅にくすくすと小さく笑えば加賀はポンっと肩に手を置いた。
「冗談だって、悪かった。」
「え?」
「でも俺なんも書くもんねぇよ?」
「あ…ッ…」
急いで雅はスマホを取り出した。
「OK、」
そういわれて交換をする二人。
「…んじゃ、今度こそ。」
「はい、ありがとうございます」
振り返りホテルを離れる加賀の背中を見つめながらも雅はドクドクと煩いほどの鼓動を持ったまま部屋に戻っていく。
「…あ、あすかちゃん…」
「雅ちゃん!!お帰り!どうだった?!」
今にも泣きだしそうなくらいの雅の元に向かうあすかはそのまま顔を覗き込む。
「え、何かあった?」
「…ちが…ッッ…加賀さん…の連絡先きけたぁ…」
「あ、そっち?」
「だって…!!ずっと…知りたかったし…」
「そかそか!頑張ったね!」
「ん!ありがとう…ぉ」
嬉しそうに、それに加えて思考がぐちゃぐちゃになるほどに高鳴る気持ちを雅はあすかに伝えていた。