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Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第29章 初めてと、久しぶりの距離


「気を付けてね?」
「すぐ戻るって」

手を振り加賀はリックと一緒に出ていく。その背中を見ながらも雅はようやく肩の力が抜けた。

「…ま、これで晴れて五人でのレースになるな」
「もぉ…緊張した…」
「そうは見えなかったけど?」
「確かに、それもそうだな」

三人は笑い合っていた。
その頃、ホテルの玄関前ではリックと加賀が話していた。

「…悪かったな、城」
「んぁ?」
「彼女の事、試すようなことしてよ」
「別に?俺は雅なら納得させれるって思ってたしよ?」
「大した自身だって思ってたさ。それにお前が連れて入るっていうにはそれなりじゃねぇとって解ってた。ただ彼女だからチームに入れて置きてぇっていう男じゃねぇのは知ってるからな」
「そうだとしてもシンディの事は悪かったな」
「あー、いいよ。それこそお前のレースに影響出るし、あそこまでのデータ取りはあいつにゃ出来ねぇよ」
「頼んでいいか?」
「あぁ。」

そう話してまた今度、と言い合い、車に向かうリックを見送っていく加賀だった。
ホテルに入ればロビーで雅が待っている。

「…お待たせ。部屋戻っててもよかったのに」
「待ちたかった」
「そっか」

立ち上がれば雅はそのまま手を握り返す。

「…城君、ごめんね?」
「何が」
「なんか…出しゃばっちゃったような…」
「んな事ねぇって、大丈夫だ」
「一緒に居ていい、のかな」
「大丈夫だ。ただ、女が雅しかいねぇけどな」
「それは大丈夫。フィルもいるし。」
「ま、それもそうだ。雅はいつも通りに居てくれたらいい。」
「ありがと…」

エレベーターに乗り込めば自然と体の距離も近付く二人。チンッ…と軽い音がすればその体も離れるものの、手はつながれたままだった。

「…城くん」
「ん?」
「明日から、よろしくお願いします」
「何だよ、急に」
「お部屋とか…お家の事とか…」
「心配すんな。雅にも苦労かけるかも知れねぇしな。」
「そんなことは無いよ。」
「クラッシュしたら収入ないぜ?」
「しないから大丈夫」
「とんだ自信だこと。」

そう返事をすればクスクスと加賀は笑っていた。
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