第2章 思い出す記憶
時期に遠くから白い車が乗りつけてくる。
「…来たか」
運転席からは新条が降りてきて助手席から今日子が降りてきた。
「…すみません、お待たせしてしまって」
「いえいえ、こちらも今来たところでして」
「ミキさん、これからよろしくお願いしますね」
「はい、今日子さん…私の方こそ…」
「ほら、新条君。」
「え?」
「うちの新条に託してくださって、ありがとうございます。」
「なんだか…お嫁に行くみたいだね…」
「ちょ…ッッ!雅!何言って…!」
不意に雅の口を突いた言葉を聞き逃さなかった全員からはクスクスと笑い声が聞こえるものの、皆が祝福にも似た様子だった。ただ一人、新条本人が照れて何も言えなくなっている以外は…
「じゃぁ…行ってきます。」
「あぁ、しっかりな!」
「チーフぅぅぅ…」
「泣くんじゃないよ、ペイ、後は頼んだよ?」
「は、はい!」
「あ…」
そういうと雅の元に来るとそっと耳打ちを交わすミキ。
「…(また連絡するよ。また一緒に四人で食事、しよ?)」
その四人が誰を指しているかはあえて言わなくても解っていた。少し戸惑いがちにこくんと頷くことでしか返事ができなかった雅だったものの、手を振っていた。
***
そうしてホテルに戻る面々。翌日は一日オフだった。
雅は部屋に戻れば同室になっているあすかに声をかけられた。
「…ねぇ?雅ちゃん」
「んー?」
「雅ちゃんって好きな人いないの?」
「……急だね…」
「そりゃ気になるもの!誰かいないの?」
「い、ます…」
「え、誰々?」
「そ、れは…その…」
口ごもる雅を見てあすかは順番に名前を挙げていく。