第19章 彩の葛藤【番外編】
なのに…
・・・ーーーーーー
「どういう事ですか?」
「それはこちらが聞きたい。ただ、先方からの話は『インタビューや撮影以外、不用意に近づくな』と言うことだ。」
「私何もしていないんです!本当に…ッッ」
「そうかも知れない。だとしても、だ。」
「なんで私が…」
「彩スタンフォード…」
「…わかり、ました。」
ペコリと頭を下げ、編集長に背中を向けた。
悔しい…私が何したの…?真坂さんには確かに牽制したけど…でもそれならスゴウのチームから嫌がらせという目的で言われるくらいだったはず。AOIから、しかもZIPから…近付くなって言われるなんて…ッッ
苦しい気持ちはどんどんと膨れ上がってくる。あんなに苦労して掴んだサイバー専属の地位。それなのに……
「専属解除にならないだけ良いと思ってくれ」
そういう編集長の声がやけに遠くに聞こえる。泣いたらだめ…解っているのに…
私が間違っていたの?
どうして…
そんな疑問が渦巻いていた。ファインダーを覗いている間は二人の距離は無かったのに…いつの間にかそれが物足りなくて。
苦しいことがあっても加賀さんの写真を見れば何でも乗り越えれた。
でも、今は…
今は…
加賀さんの傍に居られないことが突きつけられて、乗り越えられない…
もう私は無理なの?