第19章 彩の葛藤【番外編】
サイバーの世界を見て、色々と遡ったり…アスラーダのマシンと、風見ハヤトのペアが生まれてからはAOIの新条も低迷して来た。史上最年少の王者…でも、途中から参戦したのが加賀さんだった。
その走りを見て、電気が走るような感覚に襲われて…
気付いたら私は初めてレースを見て泣いていた。感動するってこういうことなんだって…それから私はずっと加賀さんだけを追ってきた。いろんなマシン、ドライバーを撮ってきたけど、それでも加賀さんを撮っている時が一番胸がドキドキして…
今季からサイバーの専属にしてもらえた。
辞令が降りた時は嬉しくて…やっと掴んだチャンスで…加賀さんと並んで居られるんだって。本気で思っていた。
なのに…
それなのに…
あの女が居た。まだAOIオーナーのあの人なら百歩譲っても理解は出来る…ずっと一緒に居たんだから…でも…
あの人は…真坂雅は…私よりもほんの少し早くに居るだけ…それもAOIじゃない…スゴウなのに…
ウロウロされたら困る…あの人の都合で…あの人に合わせてなんて…振り回していい人じゃない…
なのに…。
ずっと見てきた加賀さん…でもそれでも見たことのないような表情だった…それを見セつけられて…アンリ・クレイトーとの喧嘩を見て…
やっぱりそうなんだ、きっと二人は恋仲だ…
だけど、会った時に話をしたら、なんてこと無い人だった。自信がない…そのひと言ですべてが終わる感じだった。自信があって、何でも笑って即答してくるような人なら諦めも着いたけど…私でも入り込める…そう思ってた。