第18章 二か月の空白と、再会
シートベルトを外したものの、なかなか降りれなかった雅。
「雅?」
「…ッ…ごめ…ッ…ずっと…会いたくて…」
「解ってる…」
「無事で…よかった…」
「死なねぇよって言ったろ」
「そうなんだけど…ッ」
頬を手で掬い上げ軽く唇を重ねる加賀。
「これでしっかりと実感できた?」
「…ん」
車を降りて店内に入る。
「…いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「二名で」
「こちらへどうぞ?」
案内される間、加賀はするっと手を繋ぐ。指を絡めるものの雅は照れて俯いてしまった。
「…どうぞ、」
「ありがとうございます」
「お決まりになりましたらおよびください」
そうしてボウイはその場を後にしていった。
「…どうするかねって言っても雅は食べたか」
「私…少し食べたい…」
「そ?」
「ん、せっかくだもん」
「無理すんな、食えねぇなら食えねぇでいい」
「…じゃぁ…」
そう言ってスイーツを選び出した雅を見てくすくすと笑ってみていた。それぞれ決まり、注文をすれば二人の時間が優しく流れる。
落ち着いたクラシック音楽に少しだけ薄暗い雰囲気に柔らかい間接照明、そしてテーブルライト…
「なんか緊張する…」
「なんでだよ」
「だって…」
「ん?店の雰囲気?」
「もあるけど…なんか…かっこよくなってる…」
「俺は変わらねぇよ」
表情は柔らかい加賀。そんな時だ。
「あ、そうだ…えと、タイミングとか…よくわからないけど…」
「え?」
「コレ…」
そう言って雅は紙袋を手渡した。
「…これって…」
「少しだけ早いんだけど…クリスマスプレゼント…」
「…ッッ…サンキュ、でも、俺なんも用意してねぇわ」
「いいよ、こうして会えたのが最高のプレゼント…」