第17章 止まらない、理性
そしてホテルに戻るも、駐車場に着いてからなかなか離れられなくなってしまう雅。
「…こぉら、そろそろ戻んねぇと…」
「ん、解ってるもん…」
「たく…そういうとこなんだって…」
ぼそっと呟く加賀。ドキ…として雅はゆっくりと離れた。
「ごめん…」
「勘違いすんな…」
「え…?」
「かわいいんだって…」
「…城君…」
「彼女ってのも…悪くねぇなって…」
夜の電灯も少ない中ではっきりと顔は見えないもののその声色から照れているのだというのは容易に推測できた。
「…好き…」
「ん、知ってる…」
そういえばそっと体を離す加賀。心配そうに俯く雅の頬を撫でれば笑いかけた。
「…二か月後…ちゃんと元気でいろよ?」
「ん…」
「遠距離ってわけでもねぇし、それぞれやる事ありすぎてすぐだ、きっとな」
「…ん、そうだね…」
すがる様に伸ばすことも無く、雅も手を離した。
「…二か月…無理しないでね?」
「あぁ、雅もな」
「ん…じゃぁ…今日はありがと…」
「あぁ」
そうして背中を向ける雅の手を引くとぐいっと抱き寄せた。
「…わり…後十秒だけ…」
「城…くん…?」
グッと抱きしめる腕は簡単にはほどけなかった。時期に緩むと耳元に唇が寄せられる。
「…何かあったら言って来い…な?」
「ん…」
「電話する」
「分かった…」
そうしてようやく離れることが出来た二人は先に雅がホテルに入っていく。少し後で加賀がメットを二つ持って戻っていくのだった。