第17章 止まらない、理性
決定的なのがミーティングの最後の修の言動。
『それはおいおいだな』
それでほぼ多数のクルーはオーナー公認の仲なのかもしれない…と感じるものも多かった。
「…俺も彼女とか欲しいわ」
「それな…」
最後にはクルー同士の嘆きに終わるのだった。
***
その頃、加賀と雅はイルミネーションがきれいに輝く中央広場に居た。
「…なんか、バイクで公園って、おなじみになってきたな」
「嬉しいよ?だって…」
ベンチに座って加賀に凭れると雅は嬉しそうに小さく笑いながらも話し出す。
「…城君と二人になれるから」
「ま、それもそうだな…」
ゆっくりと肩を抱き寄せて加賀はふっと笑う。
「だいぶ慣れたな」
「え?」
「名前で呼ぶの」
「…ツ…これでも練習して…」
「練習?」
「そう、…鏡とか、どこでもずっと名前呼んでみたり…」
「てことはそれだけ俺しか考えてねぇって事?仕事しろって」
「…し、てるもん!」
「どうだか」
くすくすと笑い合う。その声は互いにしか聞こえない程の物だった。
「…でも…」
そう言いかけた雅。ゆっくりと加賀の顔を見ながら話し出す。
「…城君も…妬いたりするんだ…」
「…グレイも言ってたろ、独占欲の塊だって…」
「そうなんだけど…」
「誰に見られたってかまわねぇよ。ただ、それだと困らせるだろうし…居づらくなっても困る…」
「え?」
「ま、言われない様にするには仕事が完璧ならいいんだけどな?」
「…ん」
「でも、無理か…俺の事ばっか考えてんじゃ」
「そんなことないもん…」
「いいよ…」
フッと後ろ首に手を回されて雅の唇にキスが降ってくる。
「…(いずれは…俺だけのことだけしか考えれなくしてやるよ…)」
そういう言葉は加賀は自身の心にしまい込んだ。