第17章 止まらない、理性
小さく呟けばコツリと加賀の肩に凭れる雅。
「…今日…いつまで居られる?」
「そうだな…」
そうどっちにもとれる返答をしながらも加賀は雅の背中に腕を回したまま離そうとはしなかった。
「…俺は居たいんだけど?」
「…クス…私も…一緒に居たい…」
「でも後悔するかもしれねぇよ?」
「なんで?」
「離せなくなるって話だ」
「…ん」
「その間は何…クスクス…」
「だったら…一つわがまま聞いて?」
そう言えば加賀は雅のお願いを聞くことにした。
「…そんなんでいいのか?」
「それがいい…」
そうして離れれば加賀は部屋を出て支度をしてくると告げた。ロビーで待ち合わせをすればメットを持って現れる加賀。
「…行くぞ?」
「ん」
そうして夜の街に連れ出した加賀。メットを被り、バイクの後ろに乗せればブルル…とエンジンをかけて加賀はバイクを走らせるのだった。その様子をスゴウのピットクルーに見られていることも気づかずにいたものの、そのクルー達は一瞬戸惑ったものの、すぐに納得していた。
「あれって…」
「ん、そういう事、だよな…」
「珍しく今日真坂さんスカーフしてたし…」
「…て事は、」
「付き合ってるって事だよな…」
「一致だ」
「言ってくれたらいいのにな」
「でもアンリにばれたらやばくねぇか?」
そう、加賀との交際うんぬんよりもクルーの心配はアンリの暴走に向かっていた。
恐らく二人は付き合っている。そうクルーの中でも確信に近いものがあった。部屋の出入りを見られているわけでもなく、ただ、雅の視線、そしてつい最近の加賀の行動、そうでなければ一体何なのだ…というくらいのことが続いていた。