【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第3章 「咲きて散る、時の花 前編」
『……なんであいつを任務に向かわせんだよ?』
最初にそれを聞いたときは、正直ちょっとイラついてた。
“未来の俺”はが大事で、恋人で、手放したくない存在なんだろ?
だったら、なんでそんなにあっさり危険なところに行かせられるんだよ、って。
俺だったら、目の届くところに置いとくし。
絶対、離さねぇのに。
でも、あいつは笑ってた。
『そうしたいのは山々だよ。でも、それじゃダメなんだ』
その時の“あいつ”の目が、妙に真剣だったのを覚えてる。
そして、続けてこう言ったんだ。
『あの子の力を、ちゃんと見ればわかるよ』
『……が、どういう子なのか』
少しだけ目を細めて。
未来の俺は、俺の顔を見て微笑んだ。
『――僕が、惹かれた理由もね』
迷いのないまなざしで、“という存在”をまるごと信じてるって感じだった。
俺は……傑以外に、そんな風に人を信じられるだろうか?
深く、ため息を吐いた。
(……泣かせるつもりなんて、なかったのに)
別に、意地悪がしたかったわけじゃない。
ただ――どうしても、わからなかったんだ。
はなんでそこまで「術師であること」に、こだわってる?
そこまでして、足掻いて、苦しそうに、それでも前に進もうとして――
あいつにはたぶんもっと違う生き方だって、あったはずなんだ。
わざわざ、こんな危険な世界に足を踏み入れる必要なんて、なかったはずだ。
けど、あいつはそうしなかった。
俺から見たら、無謀で、無力で、それでも――懸命に、“術師である自分”を全うしようとしてる。