【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第3章 「咲きて散る、時の花 前編」
まっすぐで、透き通った声で、
『先生のこと、大好きです……』
照れくさそうにしながら、それでもごまかさずに言った。
俺の目をまっすぐ見て。
あの表情も、声音も、全部。
あの時……不覚にもを可愛いって思った。
あいつが向けてるのは、未来の“俺”への気持ちだって、ちゃんとわかってる。
(でも、あんな目を向けられたの、初めてかもしれない)
傑と硝子以外――
俺に近づいてくるやつは、
何百年に一度の“六眼と無下限呪術の使い手”とか、
五条家の当主とか、
外見だの家柄だの、
そういうもんしか見てない奴らばっかだった。
最初から諦めてるやつ。
手に入れたいだけのやつ。
妬んで、利用して、勝手に近づいて遠ざかっていくやつ。
……そういうのに、うんざりしてた。
なのに、は違った。
あんなふうに、俺のことを好きって言う人間がいることが不思議だった。
そして今回、何より一番驚いたのが――未来の“俺”だった。
一人称が“俺”じゃなくて、“僕”になってるのも、なんか違和感だったけど。
それより、を見るときの“あいつ”の眼が。
まるで、世界の全部を受け入れるみたいに、優しかった。
飄々としてるくせに、ちゃんと守ってて。
ふざけた顔してても、誰よりも真剣で。
自分と同じ顔してるのに、まるで別人みたいに思えた。
“俺も、あんな顔ができるんだ”って。
“誰かを、あんなふうに――愛しいって、思うことがあるんだ”って。
そんなこと、初めて知った。
(――なんか、変だろ。自分なのに)
でも、変じゃなかった。
きっと、あれが“誰かを愛してる顔”だったんだ。
“俺にはまだ持ててないもの”を、“未来”では手にしていた。
それが悔しいとか、嫉妬とかじゃない。
ただ――妙に胸の奥がざわついた。
(……そういや)
部屋を出る直前、未来の“俺”に聞いた。