【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第3章 「咲きて散る、時の花 前編」
「う……羨ましくなんかねーし……!」
「ぷっ、素直じゃないな〜。ま、大丈夫」
先生はあっさりそう言って、私の肩越しに過去の自分へとにやりと笑いかけた。
「あと十一年経てば、と出会えるよ」
「そして……人を好きになるってことを、ちゃんと知るから」
未来の自分からの“断言”に、五条さんは一瞬眉をひそめた。
先生は肩をすくめてから、私にふっと視線を落とした。
「ね、」
その声が優しくて、ちょっとだけ甘くて。
(……さっき、五条さんが言ってた)
『俺、人を好きになるとかよくわかんないんだよね』
(じゃあ、先生の今の言い方って――)
(私と出会って、初めて……人を好きになったってこと?)
思わず、心臓が跳ねた。
(うそ、嬉しい)
信じられなくて、でも……どうしようもなく、胸が締め付けられる。
「……俺、なんで未来の自分と彼女がいちゃついてるとこ見せられてんの?」
五条さんがぽつりと呟いた。
混乱とちょっとした敗北感が入り混じったような、複雑な声色。
そして、呆れたように頭をかきながら、深いため息を吐いた。
「……つーか、なんで未来の俺までこっちに来てんの?」
(あ……そういえば……)
先生はきょとんと目を丸くして、それからケロッとした顔で笑った。
「あー、それはね」
先生は人差し指を立て、少し真面目な顔で続けた。
「が“結界の中に入ったまま戻ってこない”って、悠仁から連絡が来たんだよ。一人で飛び込まずに、ちゃんと報告できるようになったよねー、成長成長。僕の教え方がいいんだね」
そう言いながら、ちょっと得意げな顔をする先生。
「で、僕もすぐに君たちの任務先に向かって、その結界に入ったんだけど……」
「の姿が見当たらなくてね。それで、の呪具の呪力を追ってきたら、辿り着いた先がここだったってわけ」
「……でも、まさか過去にトリップしてるとは、さすがの僕もびっくり」
先生があっけらかんと笑って言うと、
「その呪霊はどうしたんだよ?」
と、五条さんが鋭く切り込んだ。
先生は指先で目隠しを軽く押さえて首をひねる。