【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第3章 「咲きて散る、時の花 前編」
「――あ、そういえば」
先生が、まるで忘れてたかのように口を開く。
「なんで、17歳の僕は……僕の彼女を押し倒してたの?」
その場の空気が音を立てて凍りついた。
「……は?」
五条さんがゆっくりと私のほうを振り返る。
「“僕の彼女”……?」
先生は当然のように私の肩を引き寄せ――
「紹介するね、未来の僕の彼女。ちゃん♡」
「はぁああああああああああああ!?」
五条さんがまさかの全力で叫んだ。
「が俺の彼女!?」
混乱してる。
めっちゃ混乱してる。
指さしてるし。
「お前、なんでそんな大事なこと言わないんだよっ!?」
勢いそのままに私のほうを振り返った五条さんが詰め寄ってくる。
「えっ……? あ……ご、ごめんなさい。なんか……言う機会がなくて……」
私はあたふたと視線を泳がせながら、思わず両手を胸元で合わせて小さくうずくまった。
「、言ってなかったの?」
先生が小首をかしげて問いかける。
「あっ……はい……なんか自分から言うのも変かなと……」
ごにょごにょと視線を逸らしながら答えると、五条さんは呆然としたまま、ゆっくりとその場にしゃがみこんだ。
「……俺は、未来の自分の彼女に迫ってたのかよ」
何かを呑み込むように小さく呟いた。
「つか、こいつ生徒だろ!?」
ようやく我に返った五条さんが言ったその一言に、
「恋愛に年齢も立場も関係ないからね」
先生は微笑んで、私の頭に手を置いた。
「なんでなんだよ?」
指をさされた私は、思わずぴくりと肩を揺らす。
五条さんはじっとこちらを見て、遠慮なく言い放った。
「なんつーか……地味だし、ガキだし」
(っ……)
「井上和香みたいなおっぱいもないし」
(うぐっ……)
「呪術師としても、弱いでしょ」
ずしーん……
五条さんの言葉が、心にぐさぐさと突き刺さる。
しかも全部……その通りだから、否定できないのがつらい。
私はしょんぼりとうつむき、膝の上で指をもぞもぞと動かした。