• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──

第3章 「咲きて散る、時の花 前編」


「私のこと……好きじゃないですよね? ……なんで、こういうことできるんですか……っ」

 

その一言は、自分でもびっくりするくらい弱々しかった。
情けなくて、恥ずかしくて、目の奥がじんと熱くなる。

 
そんな私を五条さんはしばらく黙って見ていた。
でも、やがて――

 

「……好きって、そんな大事?」

 

ぽつりと、言った。

 

「……え?」 

「俺、人を好きになるとかよくわかんないんだよね」

「好きとか嫌いとか言葉で縛られるの、ダルくない?」

 

軽く笑いながら、五条さんは続けた。

 

「やりたきゃやる、やりたくなきゃやらない。それだけでよくない?」

「……っ」

 

息が止まる、って、こういうことを言うんだと思った。
それは恋も、誰かの気持ちも、全部ひとまとめにして、気分で片づけるみたいな言い方で。

 
(……こ、この人クズだ……)

(さっきまで照れて可愛いって思ったの、なんだったんだろ……)

 
目の前の五条さんは、ほんの数分前とはまるで別人みたいで。
さっきまでの照れや戸惑いが、まるで幻だったみたいに感じた。

 
(先生、昔は……こんなだったの?)

 
ふざけてて、子供っぽくて、自信家で――
だけど本当は、相手のことをちゃんと見てくれる、あの人じゃないみたいで。 


五条さんはそんな私の動揺にも気づかないまま。
掴んだ手首にぐっと力を込めてくる。
 


「大丈夫。ここにはお前の彼氏なんて見てないからさ」



そう言って、五条さんはぐいっと身を乗り出してきた。
そして、私の肩を押さえつけるようにして、顔を近づけてくる。

 

「やめ――っ!」



抵抗しようにも、手首は掴まれたまま。
視線も外せない。
気持ちも追いつかない。


(ちがう……先生じゃない人と、こんなの……!)

(でも、五条さんも“先生”で……でもでも、違う……!)
 

気づけば、五条さんの顔が目の前に迫っていて。


(やだ、どうしよう――キスしちゃう……!)


私はぎゅっと目を閉じた。







唇が触れる、その寸前――
 






















「――はい、そこまで」

 

聞き覚えのある低い声が頭上から落ちてきた。
/ 319ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp