【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第3章 「咲きて散る、時の花 前編」
「いや? そういう雰囲気だったから」
「ど、どこがですか!? そんなの――!」
慌てて手を動かそうとするけど、五条さんに掴まれていた手首は離してくれなくて。
そのまま視界の端で、彼が肩をすくめるのが見えた。
「俺のこと――好きなんだろ?」
わざと軽い調子で言いながら、彼は指先で私の髪を弄ぶ。
その動作は、まるで「感情」を試しているみたいだった。
「だったら、問題ないじゃん?」
そう言いながら、五条さんはいたずらっぽく笑う。
「問題あるに決まっ――っ!」
そう叫んだ瞬間、五条さんの唇が首筋に触れた。
「ひゃっ……!」
熱い感触と、くすぐったいほどの吐息が肌をなぞっていく。
思わず首をすくめると、その反応を楽しむように、もう一度キスが落ちた。
「……ちょっ、や、やめっ……! やだ……!」
手首を引こうとしても、五条さんは微動だにしない。
むしろ、ぐっと手を引き寄せられて、体ごと密着する。
「……っ、ご、五条さん、私……っ」
思わず声が上ずる。
「私、彼氏いますからっ!!」
その瞬間、ぴた、と。
五条さんの動きが止まった。
「…………」
私はただじっと彼の顔を見返す。
(……止まった)
(よかった……諦めてくれた)
心臓がバクバクうるさい中で、ほんの少しだけ肩の力が抜けるのを感じた。
(まぁ……彼氏って、“今の先生”のことだけど)
五条さんは、私の彼氏が“未来の自分”だなんて、知るはずもなくて。
沈黙のなか、五条さんは真顔で私を見下ろしていた。
だが、息がかかるほど近い距離なのに、ぜんっぜん気まずそうじゃない。
「……あー、俺、彼氏いても気にしないから」
「はい……?」
「そういうのどうでもよくない?」
「私はよくないです!!」
私は即答した。というか、しないと危険な気がした。
「それに……! それに、五条さん……!」
言いながら、気づいたら声が震えていた。