【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第3章 「咲きて散る、時の花 前編」
「でも、先生は……生徒のこととか、高専の仲間のこと、ずっと大事に考えてて」
気づけば、言葉が自然にこぼれていた。
これまで高専で過ごした日々で、何度も見てきた背中を思い出しながら。
「自己中だって思われてるけど、本当は……すごく、人のこと見てて――」
ふと顔を上げると、五条さんがこちらを見つめていた。
さっきまでの冗談めかした表情は消えていて――
まっすぐな瞳が揺れもせず、こちらを見ていた。
そして、ほんの少し声を落として言った。
「、すげー好きじゃん」
「えっ……?」
「未来の俺のこと」
ストレートすぎる言葉に、思考が一瞬止まった。
顔がかっと熱くなる。
「えっと……」
目を合わせられなくて、私は視線を落とした。
指先が膝の上で、ぎゅっと重なる。
でも――
(……私、先生にちゃんと好きって伝えたの、何回あったっけ)
(思いを通じ合わせてから、たぶん……ほんの数えるくらいしか、ない)
目の前にすると、恥ずかしくて。
いつもはぐらかしたり、目をそらしたりしてきた。
でも、今なら――
目の前にいるのは、未来で知っている“先生”じゃなくて。
私とほとんど年も変わらない、“五条さん”。
小さく息を吸い込んで、ほんの少しだけ顔を上げる。
「……はい」
声は、掠れるほどに小さくて。
でも、ちゃんと聞こえるように、もう一度。
「先生のこと、大好きです……」
言った瞬間、自分の顔がさらに熱を帯びたのがわかった。
言葉の余韻が、唇の端にまだ残っている気がする。
それでも、嘘はつきたくなくて――
勇気を出した、その言葉だった。
「……お前さぁ……」
ぼそっと呟いた声が、わずかに掠れていた。
「そんな本気で言うなよ……」
(……あっ)
思わず、目を見開く。
五条さんは少し頬を赤くしていて、顔を少しだけ逸らしている。
(照れてる……!?)
(未来では私ばっか顔赤くして、先生はあんまり動じないのに)
(なんか、すごく……新鮮)
くすぐったいような嬉しさが、胸にふわっと広がっていく。