【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第3章 「咲きて散る、時の花 前編」
『夏油傑。……僕の、たった一人の親友だよ』
あれは、迷いのないまっすぐな声だった。
その響きが今も頭の中に残っている。
「……でも、未来でも先生の親友っていうのは、変わらないです」
言った瞬間、五条さんの顔がふと動いた。
目をほんのわずか見開いたような気がした。
「そりゃ、当たり前だろ」
そう言って、にかっと笑う。
「俺たちは、最強だからな」
その笑顔は、まぶしいほどにまっすぐで。
罪悪感で胸が痛くなる。
過去の先生は今よりもっと素直で、感情の起伏も大きくて――
だからこそ、その笑顔があまりにも純粋に見えて。
(五条さんに本当のことを話したら――この笑顔を、守れるのかな)
「……なあ」
唐突に、五条さんが思いついたような口調で言った。
「なんで俺、教師やってんの?」
「……え?」
思わず聞き返してしまった。
(なんで、って……)
(私も、先生から直接聞いたこと……なかったかも)
出会った時から、当たり前のように“先生”だった。
(……もしかして)
(先生が教職の道を選んだのって――)
(夏油さんが関係してたりするのかな……)
そんな考えがふとよぎったその時、五条さんがこちらを覗き込んできた。
「俺さ、生徒からどう思われてんの? やっぱ、慕われてる?」
五条さんは、にやにやと悪戯っぽく笑っている。
まるで未来の自分を褒めてもらうのを、子供みたいに期待しているようで――
(……やっぱり、この人は変わらないな)
ちょっと呆れながらも、頬が緩んでしまう。
「慕われてますよ。みんな、先生のこと頼りにしてて……。あ、でも、たまにサボるために、自分の任務を生徒に投げたりすることもありますけど……」
「……サボってるのバレてんのかよ」
苦笑交じりに突っ込まれながらも、私は続けた。