【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第3章 「咲きて散る、時の花 前編」
「……そんな映画みたいなことあるんだ」
硝子さんは特に驚いた様子もなく、ぼそりとそう呟いた。
「で、ちゃん。どうやって帰るの?」
(……え? どうやって……?)
考えてみれば、そうだ。
ここに来た理由も、結界も、方法も何一つわかっていない。
(どうすれば、帰れるんだろう……)
不安がじわじわと広がり、血の気が引いていくのを感じた――そのとき。
「ちゃん」
穏やかな声が、思考の迷路から引き戻してくれた。
夏油さんだった。
「任務にはもう一人、一緒にいたんだよね?」
「あっ、はい。虎杖くんっていう同級生が……」
そう答えると、夏油さんはふむ、と軽く頷いてから微笑んだ。
「その子がその呪霊を祓えば……ちゃんも、元の時代に戻れるんじゃないかな」
「……!」
ぱっと視界が開けた気がした。
(そっか……呪霊を祓えば結界もなくなる。虎杖くんが、きっと――)
けれど、安堵したのも束の間――
「でも、」
その隣で先生が口を開いた。
「気をつけろよ。お前がもし、この過去で未来を変えるようなことをすれば」
「結界の強度が上がるようにできてる」
「……えっ、それって……どういうこと、ですか?」
思わず問い返すと、先生は呆れたように目を細めた。
「お前、呪術高専にいるのに、そんなこともわかんねーの?」
「うっ……」
ぐっと言葉に詰まる。
結界のことは、まだ勉強中なんだもん……
けれど、そこに救い舟のように、夏油さんが説明してくれた。
「つまり――未来を変えるような行動を取れば、ちゃん自身が“戻れなくなる”ってことだよ」
「……!」
それは、困る。この時代に定住コース!?
(……それより、先生と会えなくなるなんて……やだ)
任務前のあの言葉が脳裏に蘇る。