【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第1章 「香惑の宵**」
「……っ、あ、思ったより……美味しい……」
そう呟きながら、は瓶を両手で胸の前に戻し、
もう一度瓶の中を覗き込んだ。
空っぽになったその小瓶を見て、五条は、にこりと笑った。
(……あとは時間の問題か)
「……で、どう? なんか、いつもと違う感じ、する?」
五条が何気ない口調で尋ねると、は小さく首をかしげた。
「え? 特には……。甘くて美味しかったですけど」
「……あれ?」
五条の笑みが、ほんの少しだけ引きつる。
(即効性……じゃないのか?)
硝子は確かに「体温と感度が上がる」って言ってた。
が――
さすがにここまで“何もない”のは、想定外だった。
「……じゃ、私そろそろ部屋に戻りますね。明日もあるので」
そう言って、がその場を去ろうとしたその瞬間、
五条は反射的に手を伸ばした。
「ちょ、ちょっと待って。せっかくだし……もうちょっと話そうよ。久しぶりに会ったんだし」
「でも悟さん、任務明けなんじゃ……疲れてませんか?」
「全然! むしろ、の顔見て元気出たし。ね?」
そう言って、笑顔で引き留める五条に、
は一瞬迷ったように見えたが、結局頷いて、自販機側のベンチに座った。
──それから、30分。
そして──1時間。
雑談を交えながらも、五条はさりげなくの様子を観察し続けた。
頬の赤み、息遣い、声のトーン――
ほんの少しでも変化があれば見逃すまいと、気を張り詰めていた。
だが。
(……おかしいな)
は相変わらず、のほほんとしたまま。
むしろ会話のテンポはいつもより落ち着いていて、
時折うとうとと瞼を伏せる仕草までしている。
(えっ……眠くなってるだけ?)
肩透かしという言葉が、五条の脳内でぐるぐる回り出す。