【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第3章 「咲きて散る、時の花 前編」
「……っぶは!!」
思いっきり吹いたのは、まさかの先生だった。
「俺!? 俺が先生!? マジで!? ヤバ……似合わなっ!」
「教師とか無理無理無理。絶対遅刻するし、授業中寝るし、学長とケンカするし」
「未来の先生、全部やってますけど……!」
夏油さんが、笑いすぎて目尻を拭いながら首を振る。
「いやー……悟が、教職の道を選ぶなんてね」
笑みを浮かべたまま、私を見て、
「……ちゃん、悟が担任で迷惑してないかい?」
「えっ」
不意打ちの質問に、思わず固まる。
(そりゃ、まあ……軽薄で、自己中で……)
(いつもその言動に振り回されて、呆れさせられて、強引で、自信たっぷりで……)
(……でも)
私はそっと息を吸って、口を開いた。
「……たしかに、いつも振り回されてます」
「自由すぎるし、ふざけてばっかだし……」
自然と苦笑が漏れる。
でも、そのまま言葉を継いだ。
「でも、いざって時はちゃんと守ってくれて……」
「どんなときでも、絶対に見捨てない人です」
込み上げてくる想いを押さえるように、両手をぎゅっと膝の上で握りしめる。
「私が泣いてた時も、眠れない時も、夜中でも、どんなに遠くにいても……」
「先生はいつもそばにいてくれました」
私が言い終わると、夏油さんが眉を上げた。
先生はわずかに目を見開いて、息を止めたように見えた。
その反応に気づいて、はっとしてしまう。
(……あ)
(しまった、さすがに言いすぎた?)
(何この空気、やだ、私何言ってんの……!)
頬に熱が集まるのが自分でもわかる。
動揺で手先までそわそわしながら、慌てて言葉を継いだ。
「えっ、えと、つまり……その、私が言いたいのはですね!」
「私は……先生が担任でよかったって、思ってるっていう、そういうことです!」
しどろもどろに言い切った瞬間――
「……ちゃん」
夏油さんが少し微笑んで言った。