【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第3章 「咲きて散る、時の花 前編」
「……はい、お二人のことは知ってます」
小さく微笑みながら答えると、二人の視線がぴたりと重なった。
私の服装と手に持っていた呪具に目をやりながら。
「高専の制服を着てるってことは――」
「はい。……11年後の未来で、呪術高専の一年になります」
先生がひとつ息をついて、ゆっくりと立ち上がる。
「……でも」
そして、先生が眉を寄せたまま、鋭く言葉を差し込んできた。
「おまえ、呪力――ないだろ?」
その一言に、教室の空気が微かに張りつめた。
「だけど……呪力じゃない力が、体の中を巡ってる」
そう言いながら、先生は私の胸元に視線を落とす。
まるで、肉体の中に潜む何かを透かして見ているようだった。
「悟、“呪力じゃない力”って、どういう意味だい?」
夏油さんの問いに、先生が少しだけ顔をしかめる。
「呪力とは……性質が違う、“何か”」
「俺の六眼でもはっきりしない」
再び先生の蒼い目が私を見た。
その視線は、さっきより少しだけ――鋭かった。
その視線に圧倒されながらも、私はなんとか唇を開いた。
「私は……皆さんみたいな呪力や術式は、使えなくて」
「でも、代わりに“魔導”という力があって……」
言いながら、自分の手のひらを見つめる。
初めてあの女の子を、呪霊を送ったあの日と同じ手。
「魔導……?」
先生が、低く訝しむように呟いた。
「初めて聞く力だな」
夏油さんも興味深そうに首を傾げる。
「……私自身も、まだよくわかっていない力です」
そう言った瞬間、二人の目が揃ってこちらを見た。
なんとも言えないプレッシャーが肩にのしかかる。
「この“力”が何なのか、どうして私の中にあるのか――それを知りたくて」
「……呪術高専に入りました」
丁寧に、言葉を選びながら伝える。
「――先生が、私を見つけてくれたんです」
その一言に、夏油さんが目を細める。
「ちゃん。その“先生”っていうのが……」
目線だけで隣の先生を見る。
私は力強く頷いた。
「十一年後では、五条先生が……私の担任の先生です」
その瞬間――