【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第3章 「咲きて散る、時の花 前編」
(……そうなの?)
そんな現象、授業でも聞いたことがなかった。
先生が言っていた、“厄介な呪霊”って……このことだったのかな。
「……それで――」
先生がすっと教壇から降りた。
黒いサングラスに手をかけ、片手で外す仕草はどこまでも自然で。
けれど、妙に緊張感が高まる。
私の目の前に立つと、先生は腰をかがめ、
ぐっと顔を近づけてきた。
(ちょ、ちょっと近――っ)
目の前にあるのは、制服の胸元、首筋、そして――
まっすぐにこちらを射抜く、蒼い双眸。
「おまえは“十一年後の未来”から来た……と?」
「……はい。そう……みたい、です」
唇が震えるのを感じながらも、必死に答える。
でもそれ以上に――近い。近すぎる。
心臓がうるさい。
そんな私の様子を先生は何も言わず、じっと見つめてきた。
その蒼い目が、ただ静かに私を捉えて離さない。
(……信じてもらえてない……?)
私は先生と目を合わせていられなくて、そっと視線を伏せた。
頬が熱くなっていくのが、自分でもわかる。
「嘘はついてないみたいだな」
「俺の六眼で見ても……おまえから、結界の呪力の“残穢”が見える」
そう言って、ようやく先生が私から視線を外し、離れていった。
「けど、“過去”に飛ばされるってのは、なかなか聞かないな」
夏油さんが腕を組み、真剣な顔で言葉を継ぐ。
「……名前は?」
先生が私に鋭く問いかける。
「えっと、……、です……」
少しうつむき加減で名乗ると、夏油さんがふっと表情を和らげた。
「ちゃん、そんなに緊張しなくて大丈夫だよ」
柔らかな声とともに、優しく微笑みかけてくれる。
その笑顔があまりにも包容力に満ちていて、ちょっとだけ肩の力が抜けた気がした。
「僕は夏油傑。で、こっちのホスト崩れが、五条悟」
「あ!? 誰がホスト崩れだ」
先生――じゃなかった、高専時代の先生が即座にツッコミを入れる。