【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第3章 「咲きて散る、時の花 前編」
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「……で、その呪霊の結界で、ここに飛ばされたってわけ?」
高専の教室。
見覚えのある机に、黒板。
でも、今は全てが違って見える。
私はその教室のど真ん中で、正座させられていた。
目の前の教壇の上には、腕を組んでふんぞり返る――制服姿の五条先生。
つまり、高専時代の若くて、現代よりずっと太々しい先生。
「あーあ、だっせー。結界の中に入るとかマジで何やってんの」
ばっさり。
容赦も遠慮もないその一言に、思わず目を伏せる。
(いや、ほんとそれは……その通りで……)
図星すぎて、何も言い返せない。
「悟、そういう言い方はないだろ」
教壇の隣に立っていたのは、後ろで髪をまとめた――夏油傑さん。
先生の記憶の中で見たことがある。
今でも先生が大切に想っている、あの人。
「ほんとのこと言って何が悪いんだよ」
先生は両手をひょいと上げ、心底どうでもよさそうな顔で言った。
(……でも、確かに私のミスでこうなったのは事実で)
ほんの1時間前。
虎杖くんと二人で任務に当たっていた現場。
呪霊の討伐に集中しすぎて、周囲の気配を見落とした――
「気づいたら、一歩踏み込んでて。そしたら急に、目の前がぐにゃって歪んで……」
そう言いながら、私は情けなさで背筋が丸くなる。
(まさか、“過去”に飛ばされるとか……聞いてないってば)
何もかもが現実味を欠いている。
だけど、目の前で文句を言ってくる先生も、それを止めようとしてくれる夏油さんも――
ぜんぶ、嘘みたいに“本物”だった。
「呪霊の結界で時間ズレてた系……まあ、珍しいけど――たまにあるよね」
先生は軽く肩をすくめて、気の抜けた口調で言った。