【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第3章 「咲きて散る、時の花 前編」
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「――で、今回の任務って、どんな内容なの?」
虎杖くんは椅子にもたれかかりながら、後ろで手を組んで体を揺らしていた。
そして、目の前の黒板を見上げながらそう言った。
その隣で、私は手帳にメモを取りながら、じっと先生の顔を見ていた。
「ふっふーん、いい質問。今回の現場は都心からちょい離れた郊外、かつてショッピングモールとして開発される予定だったけど、資金難で中断→取り壊しも頓挫→幽霊屋敷完成って流れ」
「つまり、呪霊のデパートにもってこいの物件!」
「……呪霊のデパートって……」
虎杖くんが眉をひそめて、思わず苦笑する。
ふざけた例えなのに、なんか妙にしっくりくるのが先生らしい。
「じゃあ、数が多いんですか?」
私は手帳を見ながら、先生に問いかけた。
「んー、多いには多いけど、ほとんどが低級ばっか。それだけなら、放っておいてもいいんだけど――」
先生はそう言って、黒板を指先でコツコツ叩く。
「だけどねぇ、窓の報告だと――一体だけ、厄介なのが混じってるらしいんだよ」
「……厄介?」
私が聞き返すと、先生はいつもの調子で肩をすくめた。
「一年前、そのビルに肝試しで入った若者が行方不明になってさ。でも、最近ふらっと帰ってきたの。なんか映画みたいでしょ? びっくりだよねぇ」
「え、でも……帰ってきたならよかったじゃん」
虎杖くんが素直にそう言う。
「うーん、まぁ、見つかったこと自体は良かったんだけどね。問題は、そいつの言ってることがめっちゃくちゃでさ」
「……めちゃくちゃ?」
私と虎杖くんが顔を見合わせる。