【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第2章 「咲きて蕩けし、夜の花**」
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「……ねぇ、そんな怒んないでよ」
「怒ってないです……」
ぶすっとした声色のまま、は自分で持参した白ごはんに、五条がくれた卵をかけて、卵かけご飯を黙々と口に運んでいた。
目を覚ましたときは、文句の一つでも言ってやろうと心に決めていた。
けれど――お腹が空きすぎて、それどころではなかった。
わずかに眉が寄って、唇はきゅっと結ばれている。
その不機嫌さは、黙っていても隠しきれなかった。
そんなの様子を、五条は隣で面白そうに見つめている。
「……そもそもが可愛いのが悪いんだよ?」
「…………」
はむすっとしたまま何も返さなかった。
だが、五条はくくっと喉を鳴らして笑いながら続ける。
「だってさ、“ぬかろく”を“新しい漬け方のぬか漬け”だと思う? が真顔で言い出したとき、笑いこらえるの大変だったんだから」
「……っ!」
は目をそらし、ごはんを早口でもぐもぐと詰め込む。
耳まで真っ赤だった。
「でもさー、結局が気絶しちゃったから、二回しかできなかったな」
「せっかく、僕が“ぬかろく”って証明しようと思ってたのにさ」
「……っ、も、もう……十分わかりましたからっ」
必死に噛みつくように言い返すその声すら、震えていて。
五条はくすっと笑って、の背に手を回す。
「ほんとに~? じゃあ次は、ちゃんと六回、ね?」
「しません!! 次は一生ないですから!!」
五条はくすりと笑い、すっと腕を伸ばしてを抱き寄せた。
「でもさ、今回は――ほら、“本当の意味で”の“抜かずに”じゃなかったし?」
「……っ」
箸の動きが止まる。
頬に、じわりと熱が差していく。
それを隠すようにうつむいたの横顔を、五条はわざとらしくじっと見つめながら、少しだけ声を低くして囁いた。
「……なに、思い出してドキドキしてるの?」
からかうように落とされた声に、は無言で首を振るしかなかった。
なのに――
「もし……本当に抜かずに六回したら――、僕の子、孕んじゃうね?」
耳元で、吐息まじりに囁かれる。
「っっっ~~~~っ!!」