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【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──

第2章 「咲きて蕩けし、夜の花**」


***



「……ねぇ、そんな怒んないでよ」

「怒ってないです……」



ぶすっとした声色のまま、は自分で持参した白ごはんに、五条がくれた卵をかけて、卵かけご飯を黙々と口に運んでいた。


目を覚ましたときは、文句の一つでも言ってやろうと心に決めていた。
けれど――お腹が空きすぎて、それどころではなかった。


わずかに眉が寄って、唇はきゅっと結ばれている。
その不機嫌さは、黙っていても隠しきれなかった。


そんなの様子を、五条は隣で面白そうに見つめている。



「……そもそもが可愛いのが悪いんだよ?」

「…………」



はむすっとしたまま何も返さなかった。
だが、五条はくくっと喉を鳴らして笑いながら続ける。



「だってさ、“ぬかろく”を“新しい漬け方のぬか漬け”だと思う? が真顔で言い出したとき、笑いこらえるの大変だったんだから」

「……っ!」



は目をそらし、ごはんを早口でもぐもぐと詰め込む。
耳まで真っ赤だった。



「でもさー、結局が気絶しちゃったから、二回しかできなかったな」

「せっかく、僕が“ぬかろく”って証明しようと思ってたのにさ」

「……っ、も、もう……十分わかりましたからっ」



必死に噛みつくように言い返すその声すら、震えていて。
五条はくすっと笑って、の背に手を回す。



「ほんとに~? じゃあ次は、ちゃんと六回、ね?」

「しません!! 次は一生ないですから!!」



五条はくすりと笑い、すっと腕を伸ばしてを抱き寄せた。



「でもさ、今回は――ほら、“本当の意味で”の“抜かずに”じゃなかったし?」

「……っ」



箸の動きが止まる。
頬に、じわりと熱が差していく。
それを隠すようにうつむいたの横顔を、五条はわざとらしくじっと見つめながら、少しだけ声を低くして囁いた。



「……なに、思い出してドキドキしてるの?」



からかうように落とされた声に、は無言で首を振るしかなかった。
なのに――



「もし……本当に抜かずに六回したら――、僕の子、孕んじゃうね?」



耳元で、吐息まじりに囁かれる。



「っっっ~~~~っ!!」
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