【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第2章 「咲きて蕩けし、夜の花**」
声にならない悲鳴をあげて、は思わずごはん茶碗で顔を隠す。
耳まで真っ赤に染まっていた。
「な、なに言ってるんですか……っ! ごはん中ですよっ……!」
「えー? 性教育について真面目に話してるだけなのに~」
「それのどこが教育なんですかっ!」
「じゃあ、また“実習”する?」
「絶っ対にイヤですっ!!」
はぷいっと顔を背け、ごはんをかき込む勢いもさらに早くなる。
その様子に、五条は楽しげに目を細めた。
「……あ、ごはん粒、ついてる」
「えっ、どこ――」
顔を戻そうとした瞬間、五条がふいに顔を寄せ――
ぺろり、との頬を舐め取った。
「――ここ」
「っ……な、なんで舐めるんですか……! ティッシュ使ってください!!」
「もったいないじゃん。……の味、好きだし」
囁く声は、やけに甘くて、近くて、ずるかった。
「……もう、やだ……っ」
「そうやってすぐ照れるとこも、可愛い」
くすくすと笑いながら、五条はの頭を優しく撫でた。
茶碗で顔を隠すその仕草も、全部がたまらなく可愛い。
(……僕は、孕んでくれてもいいんだけど)
ふと、そんな本音が心に浮かぶ。
もちろん口にはしない。言ったら困らせるのはまだ目に見えてる。
けど――
それくらい、離したくなかった。
好きすぎて、苦しくなるなんて思わなかった。
(……ねぇ、早く全部、僕のものになってよ)
そう心の中で呟いて、抱いていた腕に、自然と少しだけ力がこもる。
「……さとる、さん?」
ぴくりと反応したが、不思議そうに顔を上げる。
けれど五条は、すぐにいつもの調子で笑ってみせた。
「んーん、なんでもない」
そう言いながらも、腕のぬくもりは緩めなかった。
すると――もそっと、その腕に自分の手を添えて、きゅっと握り返してくる。
目が合った。
ふたりして、少し照れたように――けれどどこか安心したように、ゆっくりと笑い合った。
こうして抱きしめて、笑い合っていると、
胸の奥がまた、君を欲しくてたまらなくなる。
そのたび僕は、どうしようもなく――
また君に恋をしてしまう。