【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第2章 「咲きて蕩けし、夜の花**」
「じゃあ、夜……僕の部屋においで。ちゃんと“仕込んで”おくから」
「わっ……ありがとうございます! 楽しみにしてます!」
は嬉しそうに頭を下げた。
だがそのとき、脇に控えていた伊地知が、ほんの少し遠慮がちに口を開いた。
「……あの、五条さん。今から……関東方面で任務が」
「……あー、そうだっけ?」
五条が気の抜けた声でつぶやくのと同時に、の肩が、すこしだけ落ちた。
「……じゃあ、今夜は……」
ぽつりとつぶやいた声は、どこか残念そうだった。
その表情にすぐ気づいた五条は、にっと悪戯っぽく笑う。
「大丈夫大丈夫。街ごと吹っ飛ばして、秒で終わらせてくるから」
「え……街ごとって……」
片手を軽く振りながら、五条は目隠しの奥でにやりと笑う。
「そんな顔しないの。ちゃーんに食べさせてあげるから」
は、ぱっと顔を上げて――
「……わかりました。じゃあ、待ってます」
「うん、いい子」
そう言って、五条はコンビニ袋を指に引っかけたまま、事務室の出口へ向かう。
夕陽の差し込む廊下に、その背中が溶けていくように遠ざかっていく中――
ふいに立ち止まり、ゆっくりと振り返った。
目隠しを片手でずらし、片目だけを覗かせて、にやりと笑う。
「今夜は、頑張らなきゃね。……可愛いのためにもさ」
***
その夜。
は、炊きたての白ごはんが詰まった小さな保温ジャーを抱えて、五条の部屋の前に立っていた。
ジャーの蓋の隙間から、ふわりと立ちのぼる甘い湯気。炊きたての香りに、自然とお腹が鳴りそうになる。
(死ぬほど美味しいというぬかろく……楽しみだなぁ……)
軽くノックすると、それに応えるように扉がゆっくりと開いた。
中から現れた五条は、いつもの制服ではなく、ラフな部屋着姿。
髪は少しラフに崩れていて、表情もどこか柔らかい。にこりと笑って、を迎える。
「ん、来たね」
「はいっ。ちゃんと白ごはん持ってきました!」
は誇らしげにジャーを掲げた。